一般財団法人 全国落花生協会

落花生の品種

植物の分類では、落花生には多くの種類がありますが、栽培種とされるのはそのうちの1種類です。栽培種は、花の咲き方、粒の大きさ、枝の伸び方などの特性から、大きく分けてバージニア、スパニッシュ、バレンシアの3タイプに分類されます。

商品としては、実の大きさにより大粒種と小粒種に大別されます。大粒種は、バージニアタイプあるいはその他の系統との中間タイプに属し、よく育った殻には大きめの実が2個入っています。私たちが実の形のまま食べているのは、ほとんどが大粒種です。煎り莢(さや)、煎り豆、バターピーナッツや豆菓子などに加工されています。これに対して小粒種はバレンシアあるいはスパニッシュタイプなどバージニアタイプ以外のもので、殻にはやや小ぶりの実が3~4個入っています。小粒種は、主として搾油、調理用食品、菓子などの原料になります。FAO(国連食糧農業機関)の統計で落花生が油糧作物に区分されているように、世界の落花生需要の多くは搾油用で、世界の栽培品種のほとんどが小粒種です。

現在、日本で一般に栽培されているもののほとんどは大粒種です。
1955年に農林省指定落花生育種試験事業が三重県から千葉県に移管され、これより以降、落花生の育種業務は千葉県農試だけが担うこととなっており、これまで多くの品種が育成され、現在も重要な役割を担っています。以下の代表的な品種も、すべて千葉県で生まれました。

  • 千葉半立(ちばはんだち)

    1952年に千葉県の農家で栽培されていた品種から選抜育成され、1953年に千葉県の奨励品種に採用されました。
    やや大粒で、収量性は高くありませんが、煎り豆にしたときの食味がよく、濃厚で独特な風味があります。千葉県で最も多く栽培されている品種です。

  • ナカテユタカ

    1959年、千葉県の農業試験場で育成した品種で、同年に千葉県奨励品種に採用されました。収量性が高く、野菜作後の肥沃な畑での栽培に適しています。
    大粒で粒揃いがよく、煎り豆にしたときの食味はあっさりした甘みで、飽きない味わいです。

  • 郷の香(さとのか)

    ナカテユタカともう1品種を交配し、1997年に千葉県農業試験場で育成した品種で、1998年に千葉県奨励品種に採用されました。収量性が高く、やや大粒で莢が白いのが特長です。
    茹でたときの味わいが深く、主に茹で落花生として販売されています。

  • おおまさり

    ナカテユタカと極大粒品種を交配し、2006年に千葉県農業総合研究センターで育成した品種で、2010年に品種登録されました。実の重さが一般の品種の約2倍ととても大きく、ふっくらした形をしており、オレイン酸の含有量の高さが特長です。
    茹で落花生に適し、甘みが強くて柔らかく、栗のような風味があります。

  • Qなっつ(きゅーなっつ)

    郷の香ともう1品種を交配し、2013年に千葉県農林総合研究センターで育成した品種で、2018年に「千葉P114号」として品種登録されました。2017年に愛称を公募し、翌2018年7月に多数の応募の中から選ばれ、Qなっつに決定。同年10月から販売が開始され、話題の人気商品になりました。莢は白く、煎り豆に適しており、ひと口噛んだとたんに感じるほど甘みのあるのが特長です。

主要参考文献:
鈴木一男編『新特産シリーズ ラッカセイ』(農文協刊)
参考サイト:
千葉県ホームページ「落花生|旬鮮図鑑」
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/kome/rakkase.html