落花生はマメ科の植物です
ピーナッツという名前からナッツだと思われることも多い落花生ですが、実はマメ科の植物です。マメ科の植物は世界で約2万種が知られていますが、中でも落花生はユニークな特性を持つマメ科の変わり者です。
落花生が生まれた場所
落花生の生まれ故郷は南米。ブラジルの一部の地域で見つかった野生の原始的な種が地形の変化とともに広がり、変異・進化をしながらブラジル、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンの5カ所にまたがる地域に広がっていったと考えられています。ボリビア、アルゼンチン、パラグアイの国境が接する地域で2つの種が交配してできた植物が落花生の原種となって広がり、やがて先住民によって栽培され、現在の落花生が生まれた可能性が高いといわれています。
地中で実る
落花生の最も大きな特性は、地中で実ること。蝶が羽を広げたようなかたちの鮮やかな黄色の花が咲き、花が萎れたあとから「子房柄(しぼうへい)」と呼ばれる茎のような器官が伸びてきます。子房柄はやがて地中に潜り、その先端にある受精した胚が地中で実って落花生になります。
殻の網目模様
地中に潜った子房柄の先端にある受精した胚は、母株から栄養をもらうとともに、自ら土壌の栄養や水分を吸収して育ちます。地上で実る豆は莢(さや)も光合成を行いますが、地中で実る落花生はそれができないため、殻の表面にある毛根と同じ機能をもつ毛状細胞から土壌の養分・水分を吸収します。また、母株からもらう栄養は、殻の表面にある管状の組織で運ばれますが、網目模様はそのあとです。
環境に優しい作物
他のマメ科の植物同様に、落花生の根には「根粒菌」という、バクテリアの一種の土壌微生物が共生します。根粒菌は、根にこぶ状の根粒をつくって株から栄養をもらう代わりに、植物の生育に欠かせない窒素を空気中から固定して植物に与えます。そのため、落花生は窒素系の肥料の使用量が少なくて済み、また、土壌に窒素成分を蓄積するので、地力改善にも大きな貢献をしています。
- 主要参考文献:
- 前田和美著『ものと人間の文化史154 落花生』(法政大学出版局刊)
鈴木一男編『新特産シリーズ ラッカセイ』(農文協刊)
- 参考サイト:
- 千葉県ホームページ「落花生|旬鮮図鑑」
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/kome/rakkase.html