日本の落花生産業
生産・加工の業態
国内の主産地は千葉県、茨城県、神奈川県、鹿児島県などで、主として個人経営の生産者による生産が行われています。また、落花生については農協の利用は限られており、生産者が直接、加工業者又は産地仲買人に販売しています。これらの買手と生産者の間にはかなり安定した取引関係ができており、生産者は販売先の業者から栽培用機械の貸与や種子の供給を受けることもあります。また、落花生加工業者が集まって全国団体を組織しているものがあります。
落花生の規格
小売される落花生は煎り莢(さや)、煎り豆(素煎り、味付け)、バターピーナッツ、豆菓子類等が一般的ですが、これらは各加工業者の創意工夫ある技術によって原料豆の品質に基づいた加工がされており、特別な規格は定められていません。特に豆菓子類は、加工業者独自の製法があり、製品は極めて多様化しています。ただし食品衛生法、計量法やJAS法に基づく加工食品品質表示基準等の適用を受けるため、これらの規定に基づいて必要な表示がされています。
加工業者間で取引される国産原料豆(水分9%程度に乾燥したもの)については、全国落花生協会が主要2品種について規格を定めています。原料豆が小売店に並ぶことはほとんどありませんが、調理用の需要に対してインターネット通販を行っている加工業者もあります。農家が栽培し、乾燥、脱莢した落花生は「土莢」といわれ、通常30㎏入りの麻袋または合繊袋に入れて加工業者、産地仲買人等に販売され、水洗い、乾燥した後に各製品に加工されます。土莢については主産地県又県団体が規格を定めています。
参考資料:国産落花生標準品規格要綱PDF
国内の落花生生産と消費
国内生産
国内の落花生生産は年々減少を続け、2015年に12,300tまで落ち込みましたが、2016年に15,500tに回復。その後、2019年に再び減少しましたが、現在は微増傾向にあります。
世界の落花生産業
世界の落花生概況
世界の落花生生産の上位3か国は、1位中国、2位インド、3位ナイジェリアとなっています(※2019年 / FAO統計)。中国の落花生生産は、1970年代末~2000年にかけて、農地改革や価格の急騰によって農家の生産意欲が刺激され、急成長しました。主産地は山東省です。中国は世界の落花生生産量の約3~4割を占めており、輸出量も世界最大です。第2位のインドは伝統的に油料種子作物の栽培が盛んで、落花生が導入されてから国民的な油脂食品となり、1990年代初め頃まで生産量は世界第1位でした。ナイジェリア、スーダン、セネガルなどの西アフリカ諸国は、植民地時代に産地として形成されました。
なお、落花生につくカビの中に、アフラトキシンという発ガン性のある物質をつくるのものがあります。海外から輸入される落花生について、検査でアフラトキシンが検出された場合、その荷は全て廃棄または積み戻しの処分となります。